年金をもらいながら働くと税金はどうなる?
給与と年金の控除・所得金額調整控除・確定申告
年金を受け取りながら働く人は、給与には給与所得控除、年金には公的年金等控除が、それぞれ使えます。両方を差し引いた残りを合計して税金を計算します。ただし、給与の年末調整には年金が入らないため、多くの人は確定申告が必要です。
最終確認日:2026年10月15日
計算の流れ:別々に控除して、合計する
- 給与所得 = 給与の収入 − 給与所得控除
- 年金の雑所得 = 年金の収入 − 公的年金等控除
- 両方ある人は、給与所得から所得金額調整控除(最大10万円)を引く
- 1と2(3を引いたあと)を合計した合計所得から、社会保険料控除・基礎控除などを引いて税金を計算
「年金」に入るのは、国民年金・厚生年金・企業年金・iDeCoを年金で受け取る分などの「公的年金等」です。生命保険の個人年金は入りません。
給与所得控除(2026年分)
| 給与の収入 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円まで | 74万円 |
| 220万円超 360万円まで | 収入 × 30% + 8万円 |
| 360万円超 660万円まで | 収入 × 20% + 44万円 |
| 660万円超 850万円まで | 収入 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
660万円未満は、所得税法の別表第五(4,000円ごとの表など)で給与所得を出すため、上の式と数百円ずれることがあります。下の計算ツールは表に合わせています。
公的年金等控除(公的年金等以外の所得が1,000万円以下の場合)
| 1年間の年金の合計 | 65歳以上の雑所得 | 65歳未満の雑所得 |
|---|---|---|
| 60万円以下 | 0円 | 0円 |
| 60万円超 110万円以下 | 0円 | 合計 − 60万円 |
| 110万円超 130万円未満 | 合計 − 110万円 | 合計 − 60万円 |
| 130万円以上 330万円未満 | 合計 − 110万円 | 合計 × 0.75 − 27万5千円 |
| 330万円以上 410万円未満 | 合計 × 0.75 − 27万5千円 | 合計 × 0.75 − 27万5千円 |
年齢はその年の12月31日で判定します。410万円以上の区分は省略しています。
所得金額調整控除(給与と年金の両方がある人)
(給与所得(10万円まで)+ 年金の雑所得(10万円まで))− 10万円 を、給与所得から差し引きます。給与所得と年金の雑所得がどちらも10万円以上あれば、ちょうど10万円です。
この控除は2020年分から始まりました。そのとき給与所得控除と公的年金等控除がそれぞれ10万円ずつ下がったため、両方ある人だけ控除が2回分減らないように調整するものです。年末調整では使えず、確定申告で差し引きます。
計算例(2026年分)
65歳以上の人の例です。社会保険料は仮の金額で、ほかの所得控除はないものとしています。
| 例 | 年金の雑所得 | 給与所得(調整後) | 合計所得 | 所得税 | 住民税(概算) |
|---|---|---|---|---|---|
| A 年金200万円だけ(社会保険料15万円) | 90万円 | — | 90万円 | 0円 | 32,000円 |
| B 年金180万円+パート100万円(社会保険料15万円) | 70万円 | 16万円 | 86万円 | 0円 | 28,000円 |
| C 年金200万円+給与300万円(社会保険料45万円) | 90万円 | 192万円 | 282万円 | 67,800円 | 194,000円 |
- B:給与所得は 100万円 − 74万円 = 26万円。所得金額調整控除 (10万円 + 10万円)− 10万円 = 10万円 を引いて16万円。合計86万円は基礎控除104万円より少ないので、所得税は0円です。
- C:給与所得は 300万円 × 70% − 8万円 = 202万円、調整後192万円。(282万円 − 45万円 − 104万円)= 133万円 に5%、復興特別所得税を含めて67,800円です。
年金180万円(65歳以上)の人なら、給与収入118万円までは所得税がかかりません(社会保険料が0円でも)。年金の雑所得70万円+(給与所得44万円 − 10万円)= 104万円で、基礎控除と同じになるためです。年金だけなら、65歳以上は年214万円まで所得税がかかりません。
住民税は所得割10%の概算です(基礎控除43万円。調整控除・均等割は入れていません)。住民税には市区町村ごとの非課税の基準があり、合計所得が少ない人は0円になることがあります。2026年分の所得の住民税は、2027年6月からの分(令和9年度)です。
計算してみる
| 年金の雑所得 | |
| 給与所得(調整前) | |
| 所得金額調整控除 | |
| 合計所得 | |
| 所得税の基礎控除 | |
| 所得税 復興特別所得税を含む | |
| 住民税 所得割(概算) |
令和8年分(2026年分)の計算です。配偶者控除・医療費控除などのほかの控除、年金・給与以外の所得、障害者控除などは入れていません。天引きされた税金との差額(確定申告で戻る・払う金額)は計算していません。
確定申告が必要になる人
年金にも給与にも、受け取るときに税金が天引きされます。ただし、年金の天引きは年金だけ、給与の年末調整は給与だけで計算します。両方で基礎控除にあたる分を差し引いているので、合わせると天引きされた税金が足りないことがあります。年金と給与を合わせた正しい税金は、確定申告で精算します。
年金には「確定申告不要制度」がありますが、使えるのは次の両方に当てはまる人だけです。
- 公的年金等の収入が 400万円以下(すべてが源泉徴収の対象であること)
- 公的年金等以外の所得が 20万円以下
給与の「所得」は、収入から給与所得控除を引いた金額です。2026年分は給与収入が94万円以下なら給与所得は20万円以下ですが、それを超えて働くと、この制度は使えません。
- 確定申告がいらない人でも、医療費控除などで税金を返してもらうには確定申告をします。
- 確定申告がいらない人でも、住民税の申告が必要な場合があります(市区町村で確認してください)。
税金とは別に:厚生年金に入って働くと年金が減ることがある
会社の厚生年金に加入して働く場合は、在職老齢年金のしくみがあります。老齢厚生年金の月額(基本月額)と、給与・賞与の月額(総報酬月額相当額)の合計が、月65万円(2026年度)を超えると、超えた分の半分の老齢厚生年金が止まります。老齢基礎年金は全額受け取れます。
2026年4月から、この基準は月51万円から月65万円に上がりました。パートなど厚生年金に入らない働き方では、このしくみは関係ありません。
よくある質問
- Q. 60代前半で、まだ国の年金をもらっていません。iDeCoを年金で受け取ると、給与と合わせて税金はどうなりますか?
- iDeCoの年金は公的年金等に入ります。65歳未満は公的年金等控除が60万円なので、年60万円までなら雑所得は0円です。60万円を超えた分は、給与所得と合算されます。くわしくはiDeCoの受け取りと税金の記事をご覧ください。
- Q. 所得金額調整控除は、年末調整でしてもらえますか?
- 給与と年金の両方がある人の所得金額調整控除は、年末調整では差し引かれません。確定申告で差し引きます。
- Q. 2027年分からは何か変わりますか?
- 給与所得控除の74万円と基礎控除の104万円は、令和8年分・令和9年分の特例です。また、2027年1月からは復興特別所得税が1.1%に下がり、防衛特別所得税(所得税の1%)が加わります。
出典・参考資料
- 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」(令和8年4月1日現在法令等。令和8年分・令和9年分の表、所得税法別表第五の扱い) nta.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」(公的年金等に係る雑所得の速算表、確定申告不要制度) nta.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー No.1411「所得金額調整控除」 nta.go.jp
- 国税庁「暮らしの税情報(令和8年度版)高齢者と税(年金と税)」 nta.go.jp
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」・国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(基礎控除104万円)
- 中央区「令和9年度(令和8年分)から適用される個人住民税の改正」(住民税の給与所得控除の最低額、住民税の基礎控除は改正なし) city.chuo.lg.jp
- 日本年金機構 年金用語集「在職老齢年金」(令和8年度の支給停止調整額65万円。2026年4月1日更新) nenkin.go.jp
この記事は、公表されている資料をもとにした一般的な説明で、令和8年分(2026年分)の制度で計算しています。実際の税額は、ほかの所得や控除、お住まいの市区町村によって変わります。申告の内容は税務署や市区町村でご確認ください。