生命保険料控除はいくら戻る?
2026年は23歳未満の子がいると上限6万円に。年末調整の書き方と計算
生命保険・医療保険・個人年金保険の保険料を払っている人は、年末調整か確定申告で生命保険料控除を受けられます。所得税は3つの区分の合計で最高12万円、住民税は最高7万円を所得から引きます。2026年分と2027年分は、23歳未満の扶養親族がいる人だけ、一般の生命保険料(新契約)の上限が4万円から6万円に上がります。
最終確認日:2026年10月20日
3つの区分と上限
保険料は、保険会社から届く「生命保険料控除証明書」に書かれた区分ごとに計算します。2012年1月1日以後に結んだ契約が新契約、2011年12月31日以前の契約が旧契約です(旧契約には介護医療保険の区分がなく、医療保険も「一般の生命保険」に入ります)。
| 区分 | 所得税の上限 | 住民税の上限 |
|---|---|---|
| 一般の生命保険料(死亡保険・学資保険など) | 新 4万円 23歳未満の扶養親族がいれば6万円 旧 5万円 | 新 2.8万円 旧 3.5万円 |
| 介護医療保険料(医療保険・がん保険など。新契約だけ) | 4万円 | 2.8万円 |
| 個人年金保険料(税制適格特約つきのもの) | 新 4万円 旧 5万円 | 新 2.8万円 旧 3.5万円 |
| 3つの合計 | 12万円 | 7万円 |
保険料から控除額を出す式(所得税・新契約)
| 1年に払った保険料 | 控除額(ふつう) | 保険料 | 控除額(23歳未満の扶養親族がいる人の一般の生命保険料) |
|---|---|---|---|
| 2万円以下 | 全額 | 3万円以下 | 全額 |
| 2万円超 4万円以下 | 保険料 × 1/2 + 1万円 | 3万円超 6万円以下 | 保険料 × 1/2 + 1.5万円 |
| 4万円超 8万円以下 | 保険料 × 1/4 + 2万円 | 6万円超 12万円以下 | 保険料 × 1/4 + 3万円 |
| 8万円超 | 4万円 | 12万円超 | 6万円 |
たとえば一般の生命保険料が年10万円なら、ふつうは4万円、23歳未満の扶養親族がいる人は 10万円 × 1/4 + 3万円 = 5万5,000円です。上限の6万円を使い切るには、年12万円(月1万円)以上の保険料が必要です。
旧契約は「2.5万円以下は全額/5万円以下は1/2+1.25万円/10万円以下は1/4+2.5万円/10万円超は5万円」。住民税の新契約は「1.2万円以下は全額/3.2万円以下は1/2+6,000円/5.6万円以下は1/4+1.4万円/5.6万円超は2.8万円」、旧契約は「1.5万円以下は全額/4万円以下は1/2+7,500円/7万円以下は1/4+1.75万円/7万円超は3.5万円」です。計算で1円未満の端数が出たら切り上げます。
2026年・2027年の上限6万円の特例
- 対象:その年の12月31日に23歳未満の扶養親族(配偶者を除く)がいる人。2026年分なら、2004年(平成16年)1月2日以後に生まれた子などです。
- 扶養親族とは:生計を一にする親族で、その年の合計所得金額が62万円以下の人(2026年分。給与だけなら年収136万円以下)。16歳未満の子も含まれます(扶養控除の対象ではありませんが、扶養親族ではあります)。
- 上がるのは:所得税の一般の生命保険料(新契約)の上限だけ。介護医療保険料・個人年金保険料、3つの合計の12万円は変わりません。
- 新契約と旧契約の両方がある人:一般の生命保険料の合計の上限が4万円から6万円に上がります(旧契約だけの人は5万円のまま)。
- 住民税は変わりません(上限2.8万円・合計7万円のまま)。
- 期間:2026年分と2027年分の所得税だけです(租税特別措置法41条の15の5)。
共働きの夫婦の場合、1人の子どもは夫婦のどちらか一方の扶養親族にしかなれません(所得税法85条6項)。子どもを扶養親族にしている側がこの特例を使えます。
戻ってくる税金の目安
控除額がそのまま戻るわけではありません。控除額 × 税率の分だけ、その年の所得税と翌年度の住民税が減ります。給与だけ・社会保険料が年収の15%(年収150万円は0円)・ほかの控除なしで計算しました。
| 2026年の給与収入 | 所得税の税率 | 一般の生命保険料 年10万円 | 同じ・23歳未満の 扶養親族あり | 3つの区分を 上限まで |
|---|---|---|---|---|
| 150万円 | 0円(非課税) | 2,800円 住民税だけ | 2,800円 住民税だけ | 7,000円 住民税だけ |
| 300万円 | 5% | 4,800円 | 5,600円 | 13,100円 |
| 500万円 | 5% | 4,800円 | 5,600円 | 13,100円 |
| 700万円 | 20% | 11,000円 | 14,000円 | 31,500円 |
| 1,000万円 | 20% | 11,000円 | 14,100円 | 31,500円 |
- 年収500万円・一般の生命保険料 年10万円の例:控除は所得税4万円・住民税2.8万円。所得税が約2,000円、住民税が2,800円減って、合わせて4,800円です。23歳未満の扶養親族がいると所得税の控除が5.5万円になり、所得税が約2,800円減って合計5,600円(特例で増えるのは年800円)です。
- 「3つの区分を上限まで」:所得税の控除12万円・住民税の控除7万円のとき。年収500万円なら所得税が約6,100円、住民税が7,000円減ります。
特例の上乗せ(最大2万円の控除)で減る税金は、所得税の税率が5%の人で年約1,000円、20%の人で年約4,100円です。税金を減らすためだけに保険を増やすと、保険料の負担のほうが大きくなるのがふつうです。
計算してみる
| 所得税 | 住民税(翌年度) | |
|---|---|---|
| 一般の生命保険料の控除 | ||
| 介護医療保険料の控除 | ||
| 個人年金保険料の控除 | ||
| 控除の合計 | ||
| 減る税金 |
保険料は、控除証明書に書かれた「その年に払った額(割戻金・配当金を引いたあと)」を入れてください。給与だけ・社会保険料以外の所得控除なしの概算です。住民税は所得割10%で計算し、調整控除などの細かい調整は入れていません。
年末調整の書き方(保険料控除申告書)
- 控除証明書を集める:保険会社から10月ごろに届く「生命保険料控除証明書」(電子データのものもあります)を、契約ごとにそろえます。
- 区分ごとに書く:勤め先の「給与所得者の保険料控除申告書」に、保険会社名・保険の種類・新旧の別・年間の保険料を書き、区分ごとに計算式で控除額を出します。年末調整のシステムに入力する勤め先もあります。
- 23歳未満の扶養親族の欄:令和8年分の申告書には、一般の生命保険料の欄に「年齢23歳未満の扶養親族の有無」の欄があります。「有」にしたら、その人の氏名・個人番号・生年月日・続柄・2026年の合計所得金額の見積額を下の欄に書き、上限6万円の計算式を使います。
- 証明書を添付して出す:控除証明書を添えて勤め先に出します。旧契約で1契約の年間保険料が9,000円以下のものは、証明書の添付がいりません。
出し忘れたとき・会社員でない人:確定申告で受けられます。確定申告書の生命保険料控除の欄に書き、控除証明書を添付するか、提出のときに見せます。年末調整で受けた分は、確定申告で証明書を出し直す必要はありません。医療費控除などで確定申告をする人は、年末調整で出し忘れた保険料も一緒に申告できます(医療費控除とセルフメディケーション税制)。
対象になる保険・ならない保険
- 保険金などの受取人のすべてが、保険料を払う本人か、その配偶者・親族である契約が対象です。夫が払っている妻の保険も、受取人の条件を満たせば夫が控除を受けられます(控除を受けるのは実際に保険料を払っている人)。
- 個人年金保険料の区分に入るのは、年金の受取人が払う本人か配偶者、保険料を10年以上定期に払う、原則60歳から10年以上または終身で受け取る、などの条件を満たす契約(「個人年金保険料税制適格特約」がついたもの)です。条件を満たさない個人年金保険は「一般の生命保険料」の区分になります。
- 保険期間が5年未満の貯蓄保険・貯蓄共済、海外の保険会社と海外で結んだ契約、傷害保険、財形貯蓄などは対象外です。
- 対象かどうかは、控除証明書で確かめられます。
iDeCoの掛金は生命保険料控除ではなく「小規模企業共済等掛金控除」で、全額が所得から引かれます(iDeCo節税シミュレーター)。
年末調整の書き方を確認したい方へ
おかね計算ラボが作成・販売しているExcelです(BOOTHのページが開きます)。
よくある質問
- Q. 2026年の生命保険料控除は何が変わりましたか?
- 2026年分と2027年分の所得税で、12月31日に23歳未満の扶養親族(配偶者を除く)がいる人は、一般の生命保険料(新契約)の上限が4万円から6万円に上がります。ほかの区分・合計の12万円・住民税は変わりません。
- Q. 子どもが16歳未満でも対象ですか?
- 対象です。16歳未満の子は扶養控除の対象ではありませんが、所得税法の「扶養親族」には入ります(生計を一にしていて、2026年分は合計所得金額が62万円以下)。
- Q. 子どもが大学生でアルバイトをしています。
- 2026年の合計所得金額が62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)なら扶養親族なので、12月31日に23歳未満なら対象です。それを超えると扶養親族ではなくなり(19〜22歳なら「特定親族」になることがあります)、この特例は使えません。
- Q. いくら戻ってきますか?
- 控除額 × 所得税の税率 × 1.021 + 住民税の控除額 × 10% が目安です。上の計算ツールで確認できます。
出典・参考資料
- 国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」(令和8年4月1日現在法令等:控除額の計算式・合計12万円・令和8年分以降の23歳未満の扶養親族がいる場合の計算式・新旧両方の場合) nta.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」 nta.go.jp
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」保険料控除申告書の記載例(年齢23歳未満の扶養親族の欄・1円未満の端数の切り上げ) nta.go.jp(PDF)
- 所得税法 第76条(生命保険料控除)・第2条第1項第34号(扶養親族)・第85条第6項。扶養親族の合計所得金額の基準は国税庁 No.1180(令和8年12月1日施行・令和8年分から62万円以下) e-Gov法令検索
- 租税特別措置法 第41条の15の5(年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例。令和8年分・令和9年分) e-Gov法令検索
- 地方税法 第314条の2第1項第5号(個人住民税の生命保険料控除) e-Gov法令検索
この記事は、公表されている法令・資料をもとにした一般的な説明です。保険への加入をすすめるものではありません。戻ってくる税金は、ほかの所得や控除によって変わります。実際の申告は、勤め先・国税庁の確定申告書等作成コーナー・税務署でご確認ください。