就業者負担軽減支援金とは?【法案段階・未成立】
対象・いつから・金額の決まり方と今からできる準備
「就業者負担軽減支援金」は、中低所得の働く人に、前の年の所得に応じてお金を支給する新しい制度です。政府の予定では2027年4月から始まり、年1回、住んでいる市町村が支給します。いわゆる「給付付き税額控除」の第一歩という位置づけで、「年収の壁」で働く時間をおさえている人への上乗せもあります。
最終確認日:2026年10月19日
いまの状況(2026年10月19日時点)
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2026年9月15日 | 制度の骨組み「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を閣議決定 |
| 2026年10月9日 | 法律案を国会(第222回国会)に提出。衆議院から審議 |
| これから | 国会で審議 → 成立すれば、金額や対象の年収などを政令などで決める |
| 2027年4月(予定) | 支援金の制度が始まる。食料品の消費税の引下げも同じ日から(予定) |
どんな制度? ひとことで
- だれに:働いて収入がある、所得が中くらいまでの人(個人ごとに判定。世帯ではありません)
- なにを:前の年の所得や、子どもの有無・人数に応じたお金(支援金)
- いつ:2027年度から、年1回(予定)
- どこから:住んでいる市町村から(1月1日時点の住所)
- 税金:支援金そのものには税金がかかりません(大綱で非課税とされています)
政府の大綱では、2029年度(令和11年度)からの本格的な制度までの「つなぎ」として、まず2年間は食料品の消費税の引下げと組み合わせて行うとされています。2027年度と2028年度の支援金は、全体で食料品の消費税1%分の範囲で行う予定です。
対象になる人の条件(大綱に書かれていること)
大綱では、次の条件に当てはまる人が対象とされています。具体的な金額の線はまだ決まっていません。
- 働いて得た所得が一定額を超える:前の年の給与収入をもとにした額と、一定額を超える事業所得などの合計(「勤労所得」)が、決められた下限を超えること。
- 所得が高すぎない:前の年の合計所得金額が、子ども(扶養している19歳未満)の有無・人数に応じて決める上限以下であること。
- 税・社会保険料の負担が一定以上ある:住民税と社会保険料の負担が、決められた基準を超えること。これにより、働いていて負担が現役並みの高齢の人も対象になりうるとされています。
- 配偶者の所得が高すぎない:1月1日に配偶者がいる場合、配偶者の前の年の所得が一定額以下であること。
2027年度と2028年度は、1〜3の条件で判定し、4(配偶者の所得)は使わない予定です。また、この2年間の「子ども」は16歳未満の扶養している子とされています。基準になるのは「前の年の所得」なので、2027年度の支援金は、2026年(今年)の所得で判定される形になります。
金額の決まり方(金額はまだ未定)
大綱には、金額の「形」だけが書かれています。働いて得た所得(勤労所得)が増えるにつれて、次のように変わります。
- 定額:働いて得た所得が、住民税(所得割)がかかり始める水準あたりまでの人は、一定の額。参考として大綱には、単身の人の住民税(所得割)の非課税の線は「所得45万円(給与収入119万円)」と書かれています。
- 増える:そこから一定の水準までは、所得に応じて増える。
- 年収の壁の加算(期間限定):社会保険に入ることで手取りが減る「年収の壁」に当たり、社会保険料を払った人には上乗せ。大綱には、目安として「週20時間・最低賃金で給与収入106万円、そのときの社会保険料は約16万円」「130万円で扶養を外れた人の手取りが元に戻るのは年収約160万円」と書かれています。
- こども加算:扶養している子どもがいれば、人数に応じて定額を上乗せ。
- 減っていく:合計所得が一定額を超えると、所得に応じて減っていき、上限を超えると0円。
支援金の額は1,000円単位(端数は切り上げ)とされています。
報道の参考値:2026年10月17日ごろ、政府が「約2,000万人に1人平均年3万円程度」「対象の年収はおおむね100万〜350万円程度」といった参考値を示したと報じられています。これは正式な金額ではなく、変わる可能性があります。
いつ・どうやって受け取る?(予定)
- 支給は年1回。住んでいる市町村が、受け取る資格があるかを認定し、認定から2か月以内に支払います。
- 原則は、請求(申請)にもとづいて認定します。ただし、マイナンバーにひもづけた公金受取口座を登録している人は、市町村が職権で認定できるとされ、運用ではこちらを原則にするとされています(申請書や通帳の写しが要らなくなる形)。
- 国は、ウェブサイトで支援額の見込みを自分で計算できる仕組みや、コールセンターを用意するとしています。
- 支援金には税金がかからず、原則として差し押さえもできないとされています(国税の滞納処分を除く。生活保護では収入として扱われます)。
食料品の消費税は1%に(予定)
同じ法律案で、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、食料品(いまの軽減税率8%の対象)の消費税を1%(国0.78%+地方0.22%)に下げる予定です。支援金とセットの制度で、こちらも法律の成立が前提です。
パートで働く人・扶養内の人にとっては?
- この制度には「年収の壁」で手取りが減る人への上乗せ(就業促進特例加算)があります。ただし、金額も対象の年収もまだ決まっていないので、今の時点でこの制度を理由にシフトを増やしたり減らしたりするのは早いと思います。
- 2027年度の支援金は、今年(2026年)の所得で判定される形です。今年の働き方は、これまでどおり社会保険・扶養・税金の基準で考えましょう。
- 扶扶養内であと何時間働ける?計算ツール週20時間・130万円・136万円・178万円まで、あと何時間かを計算します。
- 戻手取りが元に戻る年収シミュレーター扶養を外れて保険料を払うと、年収いくらで手取りが元に戻るかを計算します。
今からできること
- 公金受取口座が登録されているか確認する:マイナポータルで確認・登録できます。大綱では、登録している人は申請なしで認定する形を原則にするとされています。
- 所得を申告しておく:収入が少なくて確定申告や住民税の申告をしていない人は、所得が市町村に伝わっていないことがあります。大綱でも、非課税の人にも申告をすすめると書かれています。勤め先で年末調整を受けている人は、ふだんどおりで大丈夫です。
- 詐欺に気をつける:まだ申請は始まっていません。「支援金の手続き」と言って電話・メール・SMSで口座番号や暗証番号、手数料を求めるものは詐欺の可能性があります。
よくある質問
- Q. もう申請できますか?
- できません。2026年10月時点では法案の段階で、まだ成立していません。始まるのは2027年4月の予定です。
- Q. いくらもらえますか?
- まだ決まっていません。大綱には金額の決め方の考え方だけが書かれています。報道では1人平均年3万円程度という参考値が伝えられていますが、正式な金額ではありません。
- Q. 働いていない専業主婦(主夫)や、年金だけの人は対象ですか?
- 大綱では「働いて得た所得が一定額を超える」ことが条件なので、働いていない人は対象にならない見込みです。年金をもらいながら働いている人は、税・社会保険料の負担が現役並みであれば対象になりうるとされています。
- Q. 夫婦それぞれもらえますか?
- 個人ごとに判定する制度なので、夫婦それぞれが条件に当てはまれば、それぞれが対象になる形です。2029年度以降は、配偶者の所得が一定額を超える場合は対象外になる条件が加わる予定です。
- Q. 支援金に税金はかかりますか?
- 大綱では、支援金には税金をかけないとされています。
出典・参考資料
- 内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日 閣議決定) cas.go.jp(PDF)
- 参議院 議案情報「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」(第222回国会・内閣提出・令和8年10月9日提出) sangiin.go.jp
- 日本経済新聞「就業者支援、2000万人に平均3万円案 政府『参考値』提示」(報道の参考値) nikkei.com
この記事は、2026年10月19日時点で公表されている政府の資料と報道をもとにした一般的な説明です。法律は成立しておらず、国会の審議や今後の政令などで内容が変わることがあります。最新の情報は、内閣官房・内閣府やお住まいの市町村の案内でご確認ください。