2026年(令和8年分)の年末調整は何が変わった?
基礎控除104万円・扶養62万円と申告書の書き方
11月ごろ、会社から年末調整の申告書が配られます。2026年(令和8年分)は基礎控除の引上げなどで、申告書の様式が変わりました。家族を扶養に入れられる所得の上限も58万円から62万円(給与だけなら123万円から136万円)に上がっています。変わった点と、申告書の欄ごとの書き方を、国税庁の資料どおりにまとめます。
最終確認日:2026年10月20日
2026年の年末調整で変わったこと
| 項目 | 2025年分 | 2026年分 |
|---|---|---|
| 基礎控除(合計所得132万円以下) | 95万円 | 104万円 |
| 基礎控除(合計所得132万円超489万円以下) | 88万円・68万円 | 104万円 |
| 基礎控除(合計所得489万円超655万円以下) | 63万円 | 67万円 |
| 基礎控除(合計所得655万円超2,350万円以下) | 58万円 | 62万円 |
| 給与所得控除の最低額 | 65万円 | 74万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の合計所得 | 58万円以下 給与だけなら123万円以下 | 62万円以下 給与だけなら136万円以下 |
| 特定親族(19〜22歳)の合計所得 | 58万円超123万円以下 123万円超188万円以下 | 62万円超123万円以下 136万円超197万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象の配偶者 | 58万円超133万円以下 123万円超201万5,999円以下 | 62万円超133万円以下 136万円超207万円以下 |
| 勤労学生の合計所得 | 85万円以下 150万円以下 | 89万円以下 163万円以下 |
| 生命保険料控除(23歳未満の扶養親族がいる人の一般の生命保険料・新契約) | 最高4万円 | 最高6万円 |
小さい字は、収入が給与だけの場合の給与の収入(年収)です。基礎控除104万円・67万円・62万円は、2026年分と2027年分の金額です。
- 今年は戻ってくる額が増えやすい:2026年11月までの毎月の給与からは、改正前の税額表で所得税が引かれています。12月の年末調整で、引き上げられた基礎控除などを使って1年分を計算し直すため、例年より戻ってくる額が増えやすくなります。
- 新たに扶養になる家族がいる人:所得の上限が62万円に上がったことで、新しく扶養控除などの対象になる家族がいる人は、年の初めに出した「扶養控除等(異動)申告書」を出し直します。
- 11月30日までに退職した人:最後の給与が2026年11月30日以前の人は、年末調整に今回の改正が反映されていません。確定申告で取り戻せる場合があります。
年末調整で出す申告書
| 申告書 | だれが出すか |
|---|---|
| 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(右上に「基・配・特・所」) | 全員(基礎控除の欄)。配偶者控除・特定親族特別控除を受ける人はその欄も |
| 保険料控除申告書 | 生命保険・地震保険・自分で払った国民年金やiDeCoなどがある人 |
| 扶養控除等(異動)申告書(令和8年分の出し直し) | 年の初めに出した内容から、家族の状況や所得が変わった人 |
| 扶養控除等申告書(令和9年分) | 全員(来年1年分。年末調整と一緒に配られることが多い) |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除の2年目以降の人 |
例:年収520万円・家族4人の場合
ここからは、次の家族を例に、申告書の欄ごとに書く金額を出していきます。
| 家族 | 2026年の収入の見込み | 区分 | 控除額(所得税) |
|---|---|---|---|
| あなた(会社員) | 給与 520万円 | ― | 基礎控除 104万円 |
| 配偶者(パート・40歳) | 給与 130万円 → 所得 56万円 | 同一生計配偶者 | 配偶者控除 38万円 |
| 長男(大学生・20歳) | アルバイト 150万円 → 所得 76万円 | 特定親族 | 特定親族特別控除 63万円 |
| 長女(中学生・14歳) | なし | 16歳未満の扶養親族 | 0円(所得税の扶養控除なし) |
| 母(同居・72歳) | なし | 同居老親等 | 扶養控除 58万円 |
基礎控除申告書の書き方
まず、あなたの今年の合計所得金額の見積額を出します。給与だけなら、給与の収入から次の表で給与所得を計算した金額です(令和8年分)。
| 給与の収入 | 給与所得 |
|---|---|
| 74万999円以下 | 0円 |
| 74万1,000円〜219万999円 | 収入 − 74万円 |
| 219万1,000円〜219万9,999円 | 145万1,000円〜145万6,000円(表の金額) |
| 220万円〜359万9,999円 | 収入÷4(千円未満切捨て)×1,000 × 2.8 − 8万円 |
| 360万円〜659万9,999円 | 収入÷4(千円未満切捨て)×1,000 × 3.2 − 44万円 |
| 660万円〜849万9,999円 | 収入 × 0.9 − 110万円 |
| 850万円以上 | 収入 − 195万円(所得金額調整控除がある人はさらに引く) |
例の年収520万円なら、520万÷4=130万円 → 130万円×3.2−44万円=372万円が給与所得で、合計所得の見積額です。次に「判定」の表で当てはまる行にチェックを付けて、基礎控除の額を書きます。
| あなたの合計所得の見積額 | 基礎控除の額 | 区分Ⅰ |
|---|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 | A |
| 489万円超 655万円以下 | 67万円 | |
| 655万円超 900万円以下 | 62万円 | |
| 900万円超 950万円以下 | 62万円 | B |
| 950万円超 1,000万円以下 | 62万円 | C |
| 1,000万円超 2,350万円以下 | 62万円 | ― |
| 2,350万円超 2,400万円以下/2,450万円以下/2,500万円以下 | 48万円/32万円/16万円 | ― |
例では、合計所得372万円で「489万円以下」にチェック、基礎控除の額は104万円、区分ⅠはAです。区分Ⅰは、配偶者控除・配偶者特別控除を受ける人だけが書きます。
配偶者控除等申告書の書き方
配偶者の合計所得の見積額を、同じ表で計算します。例の配偶者は給与130万円なので、130万円−74万円=56万円です。合計所得と年齢で「判定」の①〜④を選び、区分Ⅰ(A〜C)と組み合わせて控除額を出します。
| 配偶者の合計所得(給与だけの場合の収入) | 区分Ⅱ | A | B | C |
|---|---|---|---|---|
| 62万円以下・70歳以上(昭和32年1月1日以前生まれ) | ① | 48万円 | 32万円 | 16万円 |
| 62万円以下・70歳未満(136万円以下) | ② | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 62万円超95万円以下(169万円以下) | ③ | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 95万円超100万円以下 | ④ | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| 100万円超105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | |
| 105万円超110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
| 110万円超115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
| 115万円超120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
| 120万円超125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
| 125万円超130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
| 130万円超133万円以下(207万円以下) | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
例では、合計所得56万円・40歳なので区分Ⅱは②、区分ⅠがAなので配偶者控除の額は38万円です。区分Ⅱが①か②なら「配偶者控除の額」の欄に、③か④なら「配偶者特別控除の額」の欄に書きます。夫婦の両方が配偶者特別控除を受けることはできません。
特定親族特別控除申告書の書き方
特定親族は、19〜22歳(2026年分は平成16年1月2日〜平成20年1月1日生まれ)で、合計所得が62万円超123万円以下(給与だけなら136万円超197万円以下)の家族です。アルバイトで扶養の上限を超えた大学生などが当たります。この人は扶養控除等申告書ではなく、この欄に書きます。
| 特定親族の合計所得 | 給与だけの場合の収入 | 控除額 |
|---|---|---|
| 62万円超85万円以下 | 136万円超159万円以下 | 63万円 |
| 85万円超90万円以下 | 164万円以下 | 61万円 |
| 90万円超95万円以下 | 169万円以下 | 51万円 |
| 95万円超100万円以下 | 174万円以下 | 41万円 |
| 100万円超105万円以下 | 179万円以下 | 31万円 |
| 105万円超110万円以下 | 184万円以下 | 21万円 |
| 110万円超115万円以下 | 189万円以下 | 11万円 |
| 115万円超120万円以下 | 194万円以下 | 6万円 |
| 120万円超123万円以下 | 197万円以下 | 3万円 |
例の長男は、アルバイト150万円−74万円=合計所得76万円なので、63万円です。扶養控除(特定扶養親族)と同じ額を受けられます。
家族の区分と、扶養控除等申告書の書く欄
年齢は2026年12月31日の時点で判定します。合計所得62万円以下(給与だけなら136万円以下)の家族が扶養親族です。
| 家族の年齢(生まれた日) | 区分 | 扶養控除 | 書く欄 |
|---|---|---|---|
| 16歳未満(平成23年1月2日以後) | 16歳未満の扶養親族 | なし | 扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」 |
| 16〜18歳・23〜69歳 | 一般の控除対象扶養親族 | 38万円 | 扶養控除等申告書の「B 控除対象扶養親族」 |
| 19〜22歳(平成16年1月2日〜平成20年1月1日) | 特定扶養親族 | 63万円 | |
| 70歳以上(昭和32年1月1日以前) | 老人扶養親族(同居の父母・祖父母は同居老親等) | 48万円(58万円) | |
| 19〜22歳で合計所得62万円超123万円以下 | 特定親族 | 最高63万円 | 基・配・特・所の「特定親族特別控除申告書」 |
例の長女(14歳)は「住民税に関する事項」の欄、母(72歳・同居)は「B 控除対象扶養親族」に同居老親等として書きます。共働きの夫婦は、同じ子をふたりで申告することはできません。
保険料控除申告書
生命保険料控除は、10〜11月に届く控除証明書の金額から、計算式Ⅰ(新契約)・Ⅱ(23歳未満の扶養親族がいる人の一般の生命保険料)・Ⅲ(旧契約)で計算します。例では、長女が23歳未満の扶養親族なので計算式Ⅱを使います。
- 一般の生命保険料(新)年9万6,000円 → 9万6,000円×1/4+3万円=5万4,000円(計算式Ⅱ)
- 介護医療保険料 年3万6,000円 → 3万6,000円×1/2+1万円=2万8,000円
- 個人年金保険料(新)年12万円 → 8万円超なので4万円
- 合計12万2,000円 → 上限の12万円
計算式の表と、税金がいくら減るかの計算は生命保険料控除の解説にまとめています。地震保険料は最高5万円です。国民年金・iDeCoなどを給与天引きでなく自分で払っている人は、その金額も書きます。
例の人の今年の所得税
年末調整では、会社が次の順番で1年分の所得税を計算します。例の人(社会保険料は年76万円、地震保険料は年2万5,000円とします)なら次のとおりです。
| 給与所得(給与所得控除後の給与等の金額) | 3,720,000円 |
| 所得控除の合計(社会保険料76万+生命保険料12万+地震保険料2.5万+配偶者控除38万+扶養控除58万+基礎控除104万+特定親族特別控除63万) | 3,535,000円 |
| 課税給与所得(1,000円未満切捨て) | 185,000円 |
| 所得税(5%) | 9,250円 |
| 年税額(×102.1%、100円未満切捨て) | 9,400円 |
今年の給与から引かれた所得税の合計が年税額より多ければ、その差が年末調整で戻ってきます。
自分の家族で計算したい方へ
家族の生年月日と収入の見込み、保険の控除証明書の金額を入れると、この記事の申告書の各欄に書く金額と、戻ってくる額の見込みを出すExcelもあります。
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年末調整のあとに確定申告が必要な主な場合
- 医療費控除・セルフメディケーション税制を受ける(年末調整ではできません。医療費控除の解説)
- ふるさと納税の寄付先が6自治体以上、またはワンストップ特例の申請書を出していない(ワンストップ特例の解説)
- 住宅ローン控除の1年目
- 給与以外の所得(副業など)が20万円を超える
- 2026年11月30日以前に退職して、その会社で年末調整を受けた
パート・アルバイトの家族がいる人へ
家族の収入が扶養の上限(136万円)に近い人は、年末までのシフトで超えないか先に確認しておくと安心です。税金とは別に、社会保険の扶養(130万円)や勤め先の社会保険(週20時間)の基準もあります。
よくある質問
- Q. 申告書の「合計所得金額の見積額」は、いつの金額ですか?
- 2026年1月〜12月の1年分の見込みです。12月の給与や賞与も含めて見積もります。給与を2か所以上からもらっている人は合計します。
- Q. 子どもがアルバイトで136万円を超えそうです。
- 給与だけなら、136万円を超えると扶養控除の対象から外れます。19〜22歳なら197万円以下まで特定親族特別控除を受けられ、159万円以下なら扶養控除と同じ63万円です。23歳以上や16〜18歳の子は、136万円を超えると扶養控除(38万円)がなくなります。
- Q. 年の初めに出した扶養控除等申告書と内容が変わった場合は?
- 年末調整のときに「扶養控除等(異動)申告書」として出し直します。2026年分は所得の上限が62万円に上がったため、新たに扶養親族になる家族がいる人も出し直しが必要です。
- Q. 住民税の控除額も同じですか?
- 住民税の控除額は所得税と違います(基礎控除43万円、配偶者控除33万円など)。年末調整の申告書は所得税の金額で書きます。住民税は、会社が出す給与支払報告書をもとに市区町村が計算します。
出典・参考資料
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」Ⅰ 昨年と比べて変わった点(基礎控除の引上げ・給与所得控除の最低保障額・扶養親族等の所得要件・23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例・源泉徴収事務の留意事項) nta.go.jp(PDF)
- 国税庁 令和8年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書の記載例(給与所得の計算欄・判定・区分Ⅰ・区分Ⅱ・控除額の計算) nta.go.jp(PDF)
- 国税庁 令和8年分 保険料控除申告書の記載例 nta.go.jp(PDF)
- 国税庁 タックスアンサー No.1177「特定親族特別控除」、No.1195「配偶者特別控除」、No.1180「扶養控除」 nta.go.jp
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」 nta.go.jp
この記事は、公表されている資料をもとにした一般的な説明です。例の数字は、給与だけの人の概算です。申告書の書き方や控除を受けられるかの最終的な判断は、勤め先の担当者・税務署にご確認ください。