iDeCoをするとふるさと納税の上限はいくら下がる?
上限を超えたときの自己負担も計算
iDeCoをしている人は、ふるさと納税の上限が少し下がります。いくら下がるのか、気づかずに上限を超えたらいくら損をするのかを、総務省の計算式で計算しました。
最終確認日:2026年10月11日
なぜ上限が下がるのか
ふるさと納税で自己負担が2,000円で済む寄付額の上限は、住民税の所得割額(所得に応じてかかる部分)をもとに決まります。
上限額 = 住民税の所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税の税率 × 1.021)+ 2,000円
iDeCoの掛金は、全額が所得から差し引かれます(小規模企業共済等掛金控除)。そのぶん住民税の所得割額が「掛金 × 10%」だけ減るので、上限も下がります。生命保険料控除や医療費控除、扶養控除が増えたときも、同じ理由で下がります。
年収別:iDeCoの掛金と、ふるさと納税の上限
給与収入のみ・独身または共働き(配偶者控除なし)・社会保険料は年収の15%として計算した目安です。1,000円未満は切り捨てています。
| 年収 | iDeCoなし | 月1.2万円 | 月2.3万円 | 月6.2万円 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 28,000円 | 24,000円 | 21,000円 | 10,000円 |
| 400万円 | 42,000円 | 38,000円 | 35,000円 | 24,000円 |
| 500万円 | 61,000円 | 57,000円 | 54,000円 | 39,000円 |
| 600万円 | 77,000円 | 73,000円 | 70,000円 | 58,000円 |
| 700万円 | 108,000円 | 104,000円 | 100,000円 | 75,000円 |
| 800万円 | 129,000円 | 125,000円 | 121,000円 | 108,000円 |
| 1,000万円 | 177,000円 | 173,000円 | 169,000円 | 155,000円 |
月1.2万円(年14.4万円)で約4,000円、月2.3万円(年27.6万円)で約7,000〜8,000円下がります。
月6.2万円(年74.4万円)では、年収500万円で22,000円、年収700万円で33,000円と、下がり方が大きくなっています。掛金が大きいと、計算式の中の「所得税の税率」が一段下がることがあり、そのときは上限がまとめて下がるためです。
家族構成やほかの控除を入れて計算したい場合は、シミュレーターを使ってください。iDeCoの掛金を入れると、「iDeCoをしない場合の上限」との差も表示します。
iDeCoをやめたほうが得、にはならない
年収500万円・独身の人が、月2.3万円のiDeCoをした場合で比べます。
- iDeCoで安くなる税金:掛金27.6万円 ×(所得税10% + 住民税10%)= 年 約5.5万円(復興特別所得税を入れると少し増えます)
- ふるさと納税の上限が下がる分:61,000円 → 54,000円で 7,000円
上限が7,000円下がっても、失うのは「7,000円の寄付でもらえたはずの返礼品」です。返礼品は寄付額の3割以下と決められているので、多く見ても2,100円ほどです。税金が年5万円以上安くなることと比べれば、ずっと小さい金額です。
上限を超えて寄付すると、いくら自己負担になるか
「上限を1円でも超えたら全部ムダになる」わけではありません。総務省の説明では、ふるさと納税で差し引かれる税金は3つに分かれています。
- 所得税:(寄付額 − 2,000円)× 所得税の税率
- 住民税の基本分:(寄付額 − 2,000円)× 10%
- 住民税の特例分:(寄付額 − 2,000円)×(90% − 所得税の税率)。ただし住民税の所得割額の2割まで
上限を超えると頭打ちになるのは3だけで、1と2は超えた分にも効きます。つまり、超えた金額のうち「90% − 所得税の税率 × 1.021」が自己負担になります。税率5%の人で約85%、10%の人で約80%、20%の人で約70%です。
| 年収(独身・iDeCoなし) | 上限 | 1万円超えた | 2万円超えた | 5万円超えた |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 42,000円 | 約10,300円 | 約18,800円 | 約44,300円 |
| 500万円 | 61,000円 | 約10,000円 | 約17,900円 | 約41,900円 |
| 700万円 | 108,000円 | 約8,800円 | 約15,800円 | 約36,600円 |
金額は、もともとの2,000円を含めた自己負担の合計です。確定申告をして、所得税の税率が上の計算式の税率と同じ場合の目安です。
例:iDeCoを入れ忘れて、上限いっぱいまで寄付した
年収500万円・独身で、月2.3万円のiDeCoをしている人が、iDeCoなしの上限61,000円まで寄付したとします。本当の上限は54,000円なので、7,000円超えています。
この場合の自己負担は約7,500円です(2,000円のはずが、5,500円ほど多くなる)。大きな損ではありませんが、寄付する前に計算し直せば防げます。
まだ今年の寄付が残っている人は
すでに寄付した金額は取り消せません。これから寄付する分を減らして、合計が上限におさまるようにしてください。年収がまだ確定していない人は、少なめに見積もっておくと安全です。
2026年12月のiDeCo上限引き上げと、ふるさと納税
iDeCoの掛金の上限は、2026年12月分から上がります(会社員で企業年金がない人は月2.3万円 → 月6.2万円)。
ただし、2026年12月分の掛金が口座から引き落とされるのは2027年1月です。所得から差し引かれるのは「その年に払った掛金」なので、2026年分のふるさと納税の上限には影響しません。
掛金を増やした人は、2027年分のふるさと納税から上限が下がります。来年の寄付をする前に、新しい掛金で上限を計算し直してください。
手続きで気をつけること
- iDeCoの控除は、年末調整か確定申告で申告します。掛金を自分の口座から払っている人は、秋に届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を年末調整で会社に出します。出し忘れるとiDeCoの分の税金が安くならず、ふるさと納税の上限の計算もずれます。
- ワンストップ特例が使えるのは、確定申告をしない給与所得者などで、寄付先が5自治体以内の人です。6自治体以上に寄付した人、医療費控除などで確定申告をする人は、ふるさと納税も確定申告に入れてください。
- ワンストップ特例を使うと、所得税からは引かれず、全額が翌年度の住民税から引かれます。合計の金額は、確定申告をした場合と変わらない仕組みです。
よくある質問
- Q. 企業型DC(企業型確定拠出年金)でも上限は下がりますか?
- 自分で上乗せして払う掛金(マッチング拠出)は、iDeCoと同じように所得から差し引かれるので、上限が下がります。会社が出している掛金は、もともと給与に含まれていないので、年収を源泉徴収票の金額で入れていれば計算に影響しません。
- Q. 上限を超えたかどうかは、どこで確認できますか?
- 翌年6月ごろに届く住民税の決定通知書で確認できます。住民税から差し引かれた金額(寄附金税額控除)が、「寄付額 − 2,000円」(確定申告をした人は、そこから所得税で差し引かれた分を引いた金額)より少なければ、上限を超えています。通知書の書き方は市区町村によって違い、ほかの控除と合計で書かれていることもあるので、分からないときは市区町村の税務担当に聞くのが確実です。
- Q. 住宅ローン控除を受けています。
- 住宅ローン控除で所得税が0円になっている人は、ふるさと納税の所得税の分が差し引かれず、自己負担が増えることがあります。くわしくは市区町村の税務担当に確認してください。
- Q. シミュレーターの金額ぴったりまで寄付していいですか?
- 社会保険料を年収の15%とするなど、前提を置いた目安です。源泉徴収票の「社会保険料等の金額」を入れると実際に近づきますが、少し余裕を持たせることをおすすめします。
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出典・参考資料
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」(控除額の計算式、特例分の上限、ワンストップ特例) soumu.go.jp
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税の流れ」(確定申告とワンストップ特例) soumu.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー No.1135「小規模企業共済等掛金控除」 nta.go.jp
この記事の金額は、給与収入のみの人について、総務省の計算式で計算した目安です。所得税の税率が計算式の税率と違う人、住宅ローン控除などを受ける人は、金額が変わります。正確な金額は、お住まいの市区町村にご確認ください。